低炭水化物ダイエットについて(1)〔アトキンズ・ダイエット〕。


代表的な2つの「低炭水化物ダイエット」を、チェックしておきましょう。


まずは「アトキンズ・ダイエット」。

日本では、「ローカーボ・ダイエット」とか「ケトン体ダイエット」などと呼ばれています。


アトキンズ・ダイエットは、かつてアメリカでは国民の5人に1人の割合でやっていたとさえ言われるくらいに大流行し、食品業界の売上に大きな影響すら与えたダイエットです。


その内容は、一言でいうと、炭水化物を徹底的に悪者扱いして、それを摂らないという考え方。

厳密にいうと、炭水化物を摂らないということは、すなわち炭水化物がいずれ形を代えるところの「糖質」をとらないということです。


肉・卵など、炭水化物以外のものは、好きなだけ食べてよい。

その代わり、ご飯やパンはもとより、野菜やフルーツ、砂糖を含む炭水化物は、もう徹底的にカットして、摂取しない。


その意味では「低」炭水化物ではなくて、事実上の「アンチ」炭水化物ダイエットです。だから、日本では「炭水化物抜きダイエット」という訳語をあてている人もいるようです。


(ちなみに「低炭水化物ダイエット」には、別にアメリカのヘラー夫妻が提唱した方法もあります。こちらのほうが、炭水化物の摂取については、多少は許容度の高いやり方になります。

ついでに「低炭水化物ダイエットについて(2)」の記事も、読んでくださいね。)

オリジナルのアトキンズ・ダイエットは、炭水化物のカットの仕方がもう半端ないくらい徹底的だったそうですが、現在ではもう少しソフトに運用されているというか、タンパク質の摂取量を増やすことに力点が置かれているようです。


ふつうの状態ですと脂肪が分解され、最終的に体が必要とするエネルギーが作られるわけですが、この低炭水化物ダイエットによって糖質の供給が不十分となってくると、脂肪の分解プロセスが代替的に別のルートで行われます。

その結果、体から「ケトン体」という物質が出てきます。これは吐く息や汗がなんとなく臭くなってくるので、すぐにわかります。これを「ダイエット臭」と呼ぶ人もいますが。


まぁ、メリットをあげてみましょうか。


「低炭水化物ダイエット」はいずれも比較的短い期間に、目に見えて体重が減少することから、その意味では効果があるといえるかもしれません。

加えてこれは食事療法ですし、激しい運動を必要としないことも、とっつきやすいといえるかもしれませんね。運動でカロリー消費量を増やすのは、なんのかんの言っても大変ですからね…。


食事によるダイエットはお分かりのとおり、マジメにやるともう、メニューを立てるところからけっこう大変な作業です。

でもアトキンズ・ダイエットは、基本的に炭水化物さえ排除すればいいので、その点ではラクと言えるでしょうね。


ただし「低炭水化物ダイエット」はすべてそうなのですが、十年単位の長期に渡って人体への影響を観察したちゃんとした調査結果がまだ無くて、せいぜい2~3年くらいの推移観察でいろいろ言われているのが現状です。


だから、糖質を長期にわたって極端に制限することが、人体と健康にどんな害を及ぼすリスクがあるのか、まだ完全に統一見解は得られていないわけです。「糖質制限にはリスクがある」と主張する専門家だって、少なくないのです。


人が健康に生きていく上で、栄養学的なバランスをとることの必要性は疑いのないところです。

医学的には、糖質を唯一のエネルギーとする脳をはじめとして、肝臓・腎臓にも負担がかかってくるのではないか?という意見もあります。


また現実にアレルギー反応が出て体中がかゆくなり、湿疹だらけになった人もいます。

タンパク質をエネルギー・筋肉に変えるには糖質が必要ですし、皮膚組織の代謝改善・皮脂膜生成等には、脂質も適量が必要なのです。


ということもあって、短期ならともかく、長期に渡りいつまでも炭水化物を極端に抜くダイエットは、当サイトではオススメいたしません。

あくまでも長期的に食生活を改善していくための短期的調整の一方法として、期間を区切った「ショック療法的なダイエット」としてお考えいただくほうが、アナタの健康にとってはふさわしいと信じます。


一言でまとめると「低炭水化物ダイエット、やるなら短期決戦で。」ということです。

(その後のリバウンド対策が、またこれはこれで大変なのですけどね…。)


なお余談ですが、この低炭水化物ダイエットを考案したアトキンズ博士という方は結構前にお亡くなりになっているのですが、死亡時のBMIが標準に比べてかなり高く、最後は結構な肥満状態だったとも言われています。


これってなんだか、考えさせられるお話ですよね…。